Translate

6/16/2018

赤毛のアンの悪性黒色腫(メラノーマ)リスク

マウス実験のころになじみのあったメラノコルチン受容体の遺伝子バリアントと、悪性黒色腫のリスクを男女で比較したという報告が最近のJAMA姉妹誌に登場していたのでご紹介します。(Wendt et al., JAMA Dermatology 2018)

ヒトの髪の毛の色や肌の色はメラニン合成をつかさどる酵素かその合成を制御するメラノコルチンとその受容体の遺伝子バリアントで違っているとされており、また加齢の影響を受けることは世界中の人々の観察から周知の事実である。

今回はメラノコルチン受容体の遺伝子バリアントの違いと性別がメラノーマのリスクに影響するかをケースコントロールスタディで検証したというもの。オーストリア、ウィーン大学病院からの報告。

結果は、女性のMC1Rハイリスクバリアントが有意にメラノーマリスクを示し、部位別のしわやそばかす(シミ)、太陽日射の影響なども考慮してもその遺伝子バリアントと性別の背景の影響が認められたというものであった。その理由には性ホルモンがメラニン合成に影響をしているためであろうとのことでした。


個人的に驚いたのが、MC1Rの遺伝バリアントは80以上も知られており、そのことが肌の色や髪の毛の色のバラエティになっていることと、意外だったのは、そのバリアントだけでは説明できない髪の毛の色の遺伝形質があることでした。まだまだ知らないことが多くあり、人種の中のバリアントがわかりやすい形で表れている遺伝子バリアントと疾患の感受性を知ることができるいいモデルになるのかと想像しました。

0 件のコメント:

コメントを投稿