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5/21/2017

AIによる診断、治療適正化、治療法探索の未来

今年に入ってから、日経メディカルやMedical tribune誌で特集が組まれ、よくコラムなどでも取り上げられ始めたAI(人工知能)の医療への貢献を議論する場が多くなってきたが、NEJMなど専門誌では数年前から取り上げられ、具体的な取り組みもやはりUSベースに進んでいる現状がある。(参考、医薬産業政策研究所の特集記事:人工知能の項20ページ~)
大きくは①診断、②治療法の最適化、③新規治療法探索への分析&情報提供を目的にした活用が進められている。
このような時代においては、人間ができることはひたすら上記の活用を目指すべく、機械学習法をより深く、適正に開発していくこと、活用しやすくするための構造化を整備すること、などIT-basedの知識集積が求められていく一方で、そのためにもより科学者としてのスキル(仮説設定、検証法開発、好奇心)とその経験が求められていくことが推察され、その部分に自身も研鑽したいし、後進育成に力を入れていきたいと考える。

少し前のNature誌で、悪性黒色腫(メラノーマ)の診断に機械学習法が取り上げられ、最近のLancet誌で取り上げられていた。(参照記事、Nature誌紹介記事in Lancet)
メラノーマの疾病負担は記事内の記載の通りで、白人で高く、メラノーマ以外の皮膚がんはさらに20倍高いとされている。
”in New Zealand and Australia (50 and 48 per 100000 population, respectively) and projected to increase in the UK (from 17 to 36 per 100000 population) and in the USA (from 29 to 32 per 100000 population) between 2007–11 and 2022–26.1 Non-melanoma skin cancer is up to 20 times more common than melanoma worldwide.”(記事内引用)

寛解を目指す治療法は確立されておらず、他の悪性腫瘍と比べて予後も悪いとされているがステージ初期の発見は予後は良く、早期診断が重要とされている。米国における皮膚がんの費用負担は年間80億ドル(8000億円以上!)を超え、まさにアンメットニーズになっている。
このようなメラノーマの診断に、従来、ダーモスコピーによる画像診断、病理診断をもとに専門医の所見をふまえなされてきたが、画像をベースにしたDeep convolutional neural networks (CNNs)を駆使したComputer-based診断法を皮膚科専門医の診断をもとにValidateを試みたという記事。
Carcinoma, melanomaとの区別を学ばせ、特異性&感受性カーブのAUCで0.94以上を達成しているとなっており、まずまず実用性のあるプログラムを組めてきたと考えられる。
さらに踏み込んで画像取得と診断をスマートホンアプリで行えるようなことも考えて、論文の中でも提案されているが、現在までに有用なアプリケーション、(患者ベースの診断)はまだまだ確立されたとは言い難いようだ(上記のLancet誌紹介記事内および参考記事)。
とはいえ、時代は前進しつつあることを身に染みる報告である。

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