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3/11/2017

採食健美 理性と欲との攻防

本日はJAMAの3月号に掲載されていた研究(Micha et al., )を取り上げてみようと思う。ここでは、米国の健康と栄養調査過去2回分(1999-2002年、2009-2012年)を対象に10の食事因子:フルーツジュースを除く果物、野菜、ナッツ類、全粒穀物、非加工赤肉、加工肉、糖分添加飲料、多価不飽和脂肪酸、海産性オメガ3脂肪酸、食塩、の摂取量と循環器代謝疾患(心血管病、脳梗塞、および糖尿病)による死亡率を検証。

個々の食材と疾患や死亡率との関連性は多くの研究がされているが今回そういった前向き試験などのメタデータ、最適な栄養摂取をしている集団の分布を調べた観察研究データ、疾患特異的死亡率などのデータを総括的にモデルに入れ込んで検証したもの。
結果自体は予想された通りで、食塩過剰摂取、次いでナッツ類の摂取不足、加工肉の摂取過剰、オメガ3脂肪酸の不足、野菜不足、果物不足、過剰な糖分飲料、の順で循環器代謝死亡に影響があったとなっている。
ただ、この十年くらいの間で、循環器代謝死亡は四分の一くらい減少していて、その大きな寄与は多価不飽和脂肪酸やナッツ類不足または過剰な糖分付加飲料摂取が減少したことが挙げられている。また男性の方が不摂生な食事とその代謝死亡率への影響が高いこと、青年壮年期世代(25-54歳)、教育経験水準レベル(高卒またはそれ以下)や黒人で若干影響が高くなることも併せて示されている。
一つの食材、栄養因子にとらわれた研究だとその他の食材・栄養や環境因子など交絡因子の排除が問題となるが、ここでもすべてを除き切れているとは言えない。だが最大限努力はしたと思われるので一定の評価はされていいかと思われる。測定バイアスについても限界があるが、私はそれ以上に同じ食材でも中身の栄養価や添加物の違い、同じ栄養価摂取量でも個人間での代謝による体内への摂取量の違いといった、摂取物のバラエティさ、摂取者の背景因子の違いはもっと積極的に考えてもいいかと思っている。同じような生活環境下でも体内栄養利用への影響(縦、横の成長)はとても大きいことは、その先の生理学的、病理学的影響も大きくなる気がしてならない。総体としてのメリットデメリットは分かったが、日々の食材選びや安心して摂取できる食品の監視は、医薬品程とはいかなくても市民がもっと関心を払うべき大事なことなのかもしれない。

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