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12/10/2017

気候変動とパブリックヘルス、グローバルヘルス:Lancet 2017報告

グローバルヘルスという言葉とともに臨床トップジャーナルでも総集編や個別にも取り上げられるようになったヒトの病気の負担について”Global burden”を明らかにする取り組みは年々注目を浴びているが、Lancet誌は2年も前(2015年)からさらに一歩先を行く取り組みを進めている。気候変動が我々人類にもたらす健康への影響に着目した取り組みがこちらである(Lancet Countdown引用リンク)。


以前にもLancet Planetary Health誌お創刊号の記事をご紹介したが、本日こちらでご紹介する記事はレビューとなっており、もっとスケールの大きな取り組み、Lancet Countdownでの取り組みの中間報告といったものが紹介されている(本日のお題:引用文献:Watts et al., )。

パリ協定に基づく環境保全の実行を、独立した機関として検証しようという国際的コンソーシアムの取り組みで、世界の全大陸にまたがる24の学術機関および政府組織の様々な領域の代表者を擁し、その協力には、気候科学者、生態学者、エンジニア、エネルギー、食品、交通システムの専門家、地理学者、数学者、社会科学者、政治学者、公衆衛生専門家、医師などが含まれます。 気候変動の影響、曝露、脆弱性、健康への適応計画と回復力の5つのセクションにわたる年次指標を報告しています。

温暖化による赤道近辺諸国の感染症などの状況、ワクチン・医薬品へのアクセス、PM2.5、炭素&窒素酸化物、硫黄酸化物などの空気環境などがもたらす健康被害や影響を評価したり、各国の気候変動への啓発(広報活動)やその認知度向上を測ったり、エネルギー依存の内訳(化石燃料・再生エネルギーなど)やゼロ炭素エネルギーへの取り組みを評価したりしています。
気温変動により農村部の労働力への影響が、2000年から2016年までに5.3%減少したということや、気候に敏感な7つの病気(デング熱、マラリア、胃腸炎、メラノーマ、自然災害、熱波や寒波、タンパク栄養失調)による関連死亡者数の推移を示す死亡率推定値は1990年以来測定を継続している(図7)。
また、気温1℃の上昇あたり6%の小麦生産が減少、夜間の気温増加に敏感で、1度の上昇あたり米穀(お米)収穫率が10%低下するとされているそうです。ビタミンA,B12、亜鉛、鉄分、オメガ脂肪酸摂取に重要な漁獲量減少も世界的な健康への影響、例えば循環器疾患リスクの増大となることを懸念しています。
その他経済へのインパクトや、ニュースで取り扱われる気候変動の記事の数=啓発や科学文献数などもインディケーターとして測定しています。興味ある方ぜひご一読ください。

が、何より、私が気になったのが、世界最速で超高齢化社会に突入し、医療・健康商品の3大市場の一雄の規模を誇り、Top10くらいの少なくない人口、世界三位の経済規模を有する日本という国が、こういった国際的取り組み、グローバルヘルスへのデータ提供や解析の科学的貢献もなく(日本人研究者参加なし)、他国の熱帯地域の感染症対策への取り組み(ワクチン開発など)もなく、独自調査の取り組みもないという現実がとても気がかりです。野口英世や大村智先生のイベルメクチン開発の貢献までとはいかぬまでも、国際社会への貢献、その志のなさに嘆息がもれます。
国際社会が国境なく動いていく中で日本人の貢献が非常に実質的に少なくなっていることは、他の医学、ヘルスサイエンスの分野でも同様に下がってきているのかなあと逡巡としてしまいます。
私自身も含め、研究者としての国際貢献を目指しましょう!

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