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2/23/2019

絵文字表現の有用性 PROとしての活用

学会アブストですが、革新的な技術、一歩先を行く技術でも一つ一つが大事なステップであることを考えたい研究でしたので簡単に取り上げます。

がん患者さんに3つのデバイス:紙、iphone, apple watch、に分けて日々のQOL、活動性、疲労感などを拾い上げることを行って、digital deviceの有用性を検証しようとしたものです。(Thompson et al., ASCO2018 annuacl meeting)
結果からはdigital deviceは十分に有用ですことを示したいるようですが、興味を引いたのが、digitalに特徴的かと思いましたが、絵文字スケールを用いたところです。

その時の気分を表す絵文字による表現、評価が使えること、何となく理解できますよね。
容易さ、直接的?間接的な表現手段にアイコン、絵文字が多様化していく気がします。



What is an appropriate level of evidence for a digital health intervention?

デジタルアプリケーション、デバイスによる診断補助を以前にも取り上げましたが、
最近はそれらの発達を横目に見つつ(例えば大腸がん早期発見を目指した内視鏡検査のAI診断のレビュー記事) 、データ基準、質の基準作りが必要になってきた風潮のようです。


ここで取り上げたいのが以下の文献:

  1. タイトルにも取り上げた、エビデンスレベルをどのように規定すべきかフレームワークづくりを目指す提言記事https://www.thelancet.com/journals/lancet/article/PIIS0140-6736(18)33129-5/fulltext
  2. 皮膚がん診断アプリの疑義(参照記事はこちら)をベースに議論展開した記事 ”Digital oncology apps: revolution or evolution?"

議論は特に思いつかなかったのですが、ついでにLancet姉妹誌として、Digital Healthをテーマにしたジャーナルが生まれるようですので、ウォッチしていきたいと思います。

Food sustainability

もう一つLancet commission reportから、タイトルのシリーズをご紹介。
https://www.thelancet.com/commissions/EAT

healthy food and sustainable food (providing) system, that will minimise damage to "our planet",とイントロにあったのが印象的でした。

世界人口増加が背景に8億人を超える人々が食糧不足、栄養失調、偏った食事にさらされている日々を送っている一方、diet-related non-communicable diseases、肥満などを原因とする心血管、慢性疾患の蔓延に食事の面から科学し、適正化していこうという試みのようです。
以下の図もとても印象的な世界の食事事情の縮図ですので参考にしてください。





2/09/2019

Global Syndemic of obesity

最近の国際医学誌の傾向としてglobal public health, global burden of diseaseや気候変動, sustainable development goals (Japanの現状がわかりやすくマッピングされています. 他国との比較、現状分析、取り組むべき課題について考えさせられます)などなど、地球規模での健康、保健、政治的な観点も含めた制度設計を議論するためのデータ、科学が求められ、活用されつつあることを考える記事が増えていると感じます。
データもオープンにして利用可能にしており、(例えばGBD2017のデータなど)、より世界が近づいて議論できる環境になってきた時代になりました。

そんな中、最近"シンデミック"と、私自身が聞きなれないタイトルのシリーズをLancet誌で見かけましたので紹介します。Commisions report from the Lancet journals 2019Jan

シリーズのタイトルが、"The Global Syndemic of Obesity, Undernutrition, and Climate Change"とのことで、世界の先進国のみならず、発展途上国、日本も含むすべての国々で肥満、栄養失調あるいは栄養の偏りが健康な日常へ多大な影響を及ぼすことを議論しています。経済的なpoorではなく、健康のpoorは、社会として解決すべき課題として取り組む者の一人として見逃せません。

記事詳細は取り上げず、今回は特に、シンデミックの言葉の意味について考察します。
検索で引っかかったのがHIVとエイズに関係したものでした。API-Netエイズ予防情報さんのサイトを参照すると、

シンデミックとは何なのであろうか。シンデミック(syndemic)とは、エピデミック(epidemic)、エンデミック(endemic)、パンデミック(pandemic)と同様の語尾をもつが、相乗効果を意味するsynergyに由来する。米国CDCの定義によると、シンデミックとは「ある集団における疾病の負荷を相乗的に悪化させていく二つ以上の苦痛(afflictions)」と定義されている[2]。例えば、ニューヨーク市のスラム街に住むアフリカ系やカリブ系アメリカ人の間でHIV/AIDSが流行している背景を知るには、まず彼ら彼女らを取り巻く具体的な生のリアリティを、グローバリゼーションとの関係の中から広く理解する必要がある。このリアリティとは、貧困、非雇用、栄養失調、人種差別、ドラッグ使用、ジェンダーに基づく暴力、家庭崩壊などをめぐる具体的生の様相である。これらのリアリティは、グローバルな政治・経済における不平等や格差と密接に関連している。貧困による栄養失調が人々の免疫力を低下させ、違法なドラック使用を促進し、HIV感染の脆弱性を高める。シンデミックとは、これらの人間の苦痛が複合的に増幅されていくことをさす。”

人間一個体の病気を考える際にも様々な要素を検討し検証し、疾病の原因を探るのと似て、疫学においては生態学的な視点からburdenとなる理由、背景因子、リスクをさぐること、それらがsynergisticに作用するさまを検証していくことが求められ始めているのだと思います。
原因が明確な感染症をワクチン予防する、抗ウイルス薬でウイルスを枯渇させる、といった対症療法だけではなく、生活習慣病や呼吸器疾患を外来指導療法することとの合わせ技で取り組むように、生活習慣、環境、食事を整えることは政治制度面から行って社会を健康にしていくことが求められているのかと考えさせられました。

疫学の一種ともとられられるので、医療業界、健康産業業界や医学部での教育の中に取り込まれていくことが望まれます。